クイック エンジニアリングブログ

株式会社クイック Web事業企画開発本部のエンジニアリングチームが運営する技術ブログです。

「マテリアル・オネスティ」という思想でデザインに向き合う

MaterialHonesty こんにちは。デザイナーの佐藤 宜也(ヨシナリ)です。

突然ですが、「マテリアル・オネスティ」という言葉をご存知でしょうか。
恥ずかしながら、僕は半年前くらいに知りました。
尊敬している先輩デザイナーと話をしていた時に教えていただいた言葉です。

日々、僕なりにデザインの本質について考え悩んでいるのですが、その思想がすごい腹落ちをしたので、今日はその話をしたいと思います。

こういった思想的な話は、様々な解釈や想いがあるので、
ブログのような一方通行な媒体で発信すると、誤解も生みそうなので正直こわいですw
ですが、この言葉がもっと世の中的に広まったら嬉しいなぁという思いの方が勝ったので、話をさせてください。

「マテリアル・オネスティ」とは

プロダクトデザインの文脈における言葉です。
さかのぼること1800年代に生まれたもので、モダンデザインの父、ウィリアム・モリスにも強い影響を与え、アーツ・アンド・クラフツ運動の中心思想となったものです。

そのまま訳すと、その素材(マテリアル)を正直(オネスティ)に表現するというもの。
「何かの模倣やディテールを誇張するものではなく、素材本来の姿に忠実であるべき」
という意味で、デザイン史上の格言的なものになります。

では「素材に忠実」とはどういう意味でしょうか。
例えば、椅子は最初に木で作ろうとされました。
なぜか。それは柔らかい人に優しい素材だからこそ、長時間座れるからです。
だから、固い鉄やコンクリートを選ばず、自然と木を選択していったそうです。
製造工程に無理がない。そこには無駄な加工が存在しない。
それが「素材に忠実」という解釈になるかと思います。

もう少し言うと、アルミ削りだしのApple社製のノートパソコンの筐体が美しいと感じるのも、マテリアルオネスティが根本にあるからと言われています。

ちなみに、Web業界では、フラットデザインが登場した頃に話題になったようです。
当時は、「フラットデザインはマテリアルオネストで、スキューアモーフィックデザインはマテリアルディスオネストだ」
という議論があったようです。
この議論を追いかけていくと様々な考えを知れるのでとても面白いです。

ただ、今回僕が伝えたいことはこの粒度の話ではなく、もっと広義に現代のデザイン全般にとって大事な考え方なんじゃないかなということです。

デジタルメディアにおいての「素材に忠実」

「素材」をデジタルメディアの視点でどう考えるか。
当時でいう家具や建築などの並列にバナー、Web、アプリなどのプロダクトがあります。
では、その素材はというと、「伝えるべき情報」なんじゃないかなと。

デザインの役割として、コンテキストや情報量を整理・設計するのはもちろんです。
ですが、それだけでなく、複雑な多くの情報をどれだけ「忠実に素直に」表現していくか。
これが、デザインという行為の中で重要なんじゃないかなと考えています。

こういった考えが、頭の中にズーっとあったんですが、うまく言語化ができずモヤモヤと違和感を感じていたんですよね。
そんな中、「マテリアル・オネスティ」という言葉を知って、すごく腹落ちしたんです。

今回はデジタルメディアを例にして話ましたが、この概念は、他のデザインにも当てはまるんじゃないかなと思います。

例えば、グラフィックデザイン
表現したいモノの「らしさ」。
広告的にいうと「シズル」を忠実に再現するといった行為に代替えできるのかも。

「LESS IS MORE」「神は細部に宿る」とならぶ格言だと思う

クリエイティブの世界にはたくさんの格言があります。
その中で、「LESS IS MORE」「神は細部に宿る」は特に有名だと思うのですが、この「マテリアル・オネスティ」はそれらに並ぶ大切な考え方なんじゃないかと僕は思います。

なぜ、そのかたちでなければいけないのか。
なぜ、その色でなければいけないのか。 全てが必然になったとき、納得のいくデザインにたどり着けると僕は考えています。
素材に素直に向き合い忠実に表現する努力をすることで、その必然を導き出せるかもしれません。

自分のデザインは本来のマテリアルにオネスティなのか。
そう自問自答しながら、デザインに向き合っていきたいと思います。

一緒に向き合えたら嬉しいです

エモ散らかしてしまって失礼しました。

クイックにはデザイン、イラスト、コピー、そしてユーザーに忠実に向き合っているクリエイターがたくさんいます。 今日の話に少しでも興味をもってもらえたら嬉しいです(^^)

読んでいただきありがとうございました。


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